FUNKOT、DANGDUTを繋ぐジャンルが発見された。
その名は ORGAN TUNGGAL(オルガントゥンガル)。
現在、インドネシアに昔からある大衆ダンス歌謡DANGDUTはいわゆるロック的なアプローチとテクノ的なアプローチに分派しており、ロック的アプローチというのは、スラバヤなどで盛んなDANGDUT KOPLO(ダンドゥット・コプロ)である。
バンドスタイルにグンダン(インドネシア独特の打楽器)の音色が特徴的なDANGDUT KOPLOは、主にバンド単位でインドネシア国内をどさ廻りしているようで、インドネシア全土にライブVCDなどが流通していおり、屋台などで買うことができる。
(DJ達はDANGDUTルーツ説を否定するも、個人的にはFUNKOTにおける特色あるパーカッションはこのDANGDUT KOPLOに影響を受けていると推測している。)
。
近年のDANGDUT KOPLOで歌われるものは古くからあるDANGDUTの名曲の他にインドネシアの流行のポップスをすばやく取り入れている。このあたりはFUNKOTがいちはやく流行の楽曲をREMIXするのに近い。
非ダンスミュージックをすぐさまダンススタイルにリミックス、またはアレンジする、というのがインドネシアのスタイルである。
つまり、「歌えるし踊れるし最高じゃないですか。」思想がかなり前から根付いていると言える。。
もちろん、歌物のリミックスではないHARD FUNKと呼ばれるインストのトラックなども毎月異常な量がリリースされてはいるが。
KOPLOの話しに戻ろう。
たとえば、FUNKOTファンにもおなじみのZIVILIAのAISHITERU、HELLOの2CIN CINなどもKOPLOカバーされている。
さわやかな歌もDANGDUT KOPLOにかかれば、セクシーな女性シンガーがシナを作りまくり、喘ぎ声まで入れる超一流のゲス歌謡ダンススタイルに変化する。
HELLO/2 CINCIN
KOPLOの2 CINCIN
あのしっとりした楽曲が後半のグンダン乱れ打ちダンススタイルに。
このようなロック志向に向かったdangdut koploに対して、テクノ方面に向かったのが、ORGAN TUNGGAL(オルガン・トゥンガル)である。
ORGAN TUNGGALの特徴は、打ち込みのファンコット的なビート(しかもファンコットより高速)にキーボード手弾きでメロディを弾きまくり、セクシーな女性歌手(koploよりもよりゲス感あふれる)が腰をくねらし、頭を振り(完全にキマっているように見える)、ときには歌い、男性MCがサイドでファンコットのボイスサンプルさながらにあおりを入れまくるというもの。
やはりヒット曲なども取り入れられているが、注目すべきはインスト部分の長さ。
一心不乱に腰や頭を振る女性達やお客の盛り上がりはまさにハウスミュージック(ファンコット)のそれだ。そして超絶テクニックを誇るキーボーディスト(ビデオ内では「DJ」と呼称されている)が弾くのは我々がハウスミュージックで聞きなれた有名フレーズ!
MCはファンコットでも使われる「ジチラジロー」というサンプルボイスを叫ぶ。
このファンコットとダンドゥットを繋ぐような謎の存在は、果てしなくゲスで果てしなく泥くさいものだが、底知れぬパワフルさを持っている。
ちょうど韓国のポンチャックに当たるものと考えてもよろしかろうと思う。
日本で受け入れられる事はないし、絶対に日本人には再現不可能なジャンルではあるが、インドネシアという国のダンスミュージックの底なし沼のような世界が垣間見れるのではなかろうか。
ちなみに彼らは地方だけでなく、ジャカルタなどでも「レイヴ」を行っているらしい。
結婚式や、宗教的なお祭りに呼ばれて、サウンドシステムごと持込み、ストリートミュージシャンのようにレイヴするのだ。
垂れ幕にかかれた電話番号に連絡すれば、彼らは演奏しに来てくれるのだという。
このORGAN TUNGGALはインドネシア国内でもきわめて有名なものであるし、しばしばファンコットの類や、ダンドゥットの類と一般人には混同されて認識されている。
FUNKOT DJ達も彼らの存在はもちろん認識しているが、彼らとDJがコラボすることはないという(そりゃそうだ)。
いまだにFUNKOTをダサいなどと揶揄する不届き極まりないオトボケ野郎共もこのORGAN TUNGGALには唖然だろう。快楽性の高いFUNKOTですらも、このORGAN TUNGGALと比較すれば(する必要はないが)無茶苦茶洗練されていると言える。
このORGAN TUNGGALのパワーと猥雑感、一度生で体験してみたいものである。
高野政所/DJ JET BARON
0 件のコメント:
コメントを投稿