2012年7月18日水曜日

DJ KISS aka soloist School Of Funkot mix 2012

FUNKOTの現場では当たり前のリテラシーもWEB上では伝わりません。いわゆるFUNKOTを聞きたいが何から聞いたらいいかわからない、という声も多いです。それもそのはずでFUNKOTは毎月のように大量に新曲がドロップされ、今この瞬間が聞き時なのです。
しかし、FUNKOTにはこれさえ知っておけば現場で間違いなくアガれるというお約束・定番フレーズが沢山あるという事も事実。
なので、このお約束や定番フレーズをこれでもかと盛ったMIXをフリー配信することにしました。
FUNKOTの学校という事でSCHOOL OF FUNKOT MIXと名づけました。MIXは若き日本のFUNKOTERで最も勢いのある若手 DJ KISS aka Soloist。彼自信の提案でこのMIXは作成されたものです。
さらに超懇切丁寧な解説をDJ JET BARON こと高野政所が加えてあります。



以下のリンクよりダウンロードしてください。


ZIPファイルの中には音声ファイル、解説のテキストとジャケット画像が同梱されています。





tracklist

1.DJ ZINYO - Fujin2012
2.Andy - Title(Kucing Goreng,Twilight Zone)
3.JMBS - I Like It Loud
4.Andy - I Got To Run (Lethal Industry)
5.Andy - Inina Tora db (Tokyo Drift)
6.Gugun - Do U Want A Get Bass(Bailar,Phat Bass)
7.JET BARON - Chinese Ghost Story(Indian Power)
8.Edwin - Poem Without Words(Lethal,Yo DJ)
9.Shisotex - Doll vs Lembang
10.Richiter - Tian Di(Cape Deh)
11.Andy - Cinta Satu Malam (Miracle)
12.Ronny - Grab That Things
13.Shisotex - Kucing Garong Simple
14.Roy B - Its The Power Of Magic
15.BAYU & DOD - I Like Millenilum Party(Exorcist,Alaska,I Like It Loud)
16.Dealy - Mega Party(Cape Deh,Lembang,I Like It Loud,Power Of Magic)
17.Ronny - Bersama Bintang(Hymn)
18.NizziE - Rain & Tears(Canon,SMS)


MIXED BY DJ KISS aka soloist



Funkotは自由である。そして自由には規律が付き物である。
ダウンビート部での圧倒的な自由度が許されている代償にFUNKY BEAT部分には様々な決まりや制約があるのだ。
ビートパターンやパーカッション、ベースライン、ボイスサンプルなど一曲聴いてすぐ分かる特徴もあるが、

実はそれ以上に「お約束」のフレーズが沢山ある。2000年初頭のFunkotの成立以来、当然数々のヒット曲が生まれているのだが、その曲が毎年のようにリメイクされるだけでなく、個々の楽曲のフレーズが他のトラックのイントロに入ったり、間奏に入ったりと「知っていれば500倍楽しめる」仕掛けが沢山ある。

お約束のフレーズが飛び出せば条件反射のようにフロアは熱狂と歓声に包まれる。
またお約束フレーズがある事により、意外性を持った展開を構築する事が可能になり、より高度なフロアコントロールを可能としている。
また、こういったフレーズに正しい呼称は無いと思われるのだが、「タイトルにこの語が入っている場合は、このフレーズが出てくる」といった予想も付くようになり、FUNKOT DJの間では選曲の目安になるとともに、「Bailarが… Fujinが…」などと通常会話のように語られる。
これは現場に繰り返し遊びに行く事によりクラウド達が必然的に学習していくものであり、特にまとめて語られる事も無かったが、DJ Kiss aka Soloistによる渾身の選曲、ミックスを通して解説して行きたいと思う。

1.Zinyo - Fujin
オープニングを飾るのは「Fui-jin,Fujien」などとも言われる定番のフレーズ。
これは楽曲のタイトルそのものが「Fu-jin」になっている。
ダウンビート部に挿入される事が多く、印象的な三味線のような琴のような音色で奏でられるのが定番である。Dangdut Houseの名曲「bete」などにも引用されているがオリジナルは不明。ロシア語の歌ではないか、との情報あり。
日本の楽曲でもDJ JET BARONの「Futari Wa Pretty Cure,Power Of Street Dreams」などのダウンビートで挿入されている。

2.Andy - Title
3:20ころから聞こえてくるのはインドネシア人で知らない人は居ないという2005年のDangdutの超絶メガヒット曲「Kucing Garong(クチン・ガロン:泥棒猫の意味)」のイントロで使われているフレーズ。オリエンタル感溢れる不思議な旋律が特色であり扇動的なブチアゲ感は薄いものの、超絶的名知名度があるフレーズのために、これも定番となっている。後にShisotexによる「Kucing Garong」そのもののリメイクバージョンも収録されているので聞き比べて欲しい。さらにこの楽曲では4:55あたりから「Twilight」と呼ばれるフレーズも挿入される。元曲は2UNLIMITEDの90年代のメガヒット、「Twilight Zone」から。Funkot成立以前の楽曲ではあるが、良いものは取り入れる。この精神がFunkotなのである。
「Twilight」のフレーズの後にうっすらと入ってくるアシッド的な音、これは「Bailar」と呼ばれる音であるが、この後もちょくちょく登場するので解説は後回し。

3.JMBS - I Like It Loud
ファンコット初心者が最初にまず記憶するであろうFunkot定番フレーズ界の帝王と言っていいだろう。
それが「I Like It Loud」だ。Funkotのパーティーで聞かない事は無い王道中の王道。
8:00ころから登場する一度聞いたら忘れることができない鬼のような高揚感あるメロディは全ファンコッター の血を沸騰させる。これでアガる事が出来るようになることが初心者への第一歩である。
毎年のように多くのDJによってリメイクされる永遠に語り継がれていくであろう名曲で、
これは日本人クリエーターJOCKIE MASTABASS SUAMAによるREMIX。
途中入る「I Am Game Over」というボイスも定番中の定番ボイスサンプリング。
元ネタはSCOOTERに同名曲があるが、フレーズは全く別物でFunkotのオリジナルであり、最高峰のフレーズの一つと言っていいだろう。
言っておく、この鼻歌が自然に口を付いて出てこない者はまだFunkoterを名乗る資格すらない。

4.Andy - I Got To Run

11:20ころから登場するシンセ単音のフレーズが「Lethal」だ。Tiestoの「Lethal Industry」が原曲になっており、ほぼ原曲と同様のメロディである。
これもFunkot王道フレーズとして外す事は出来ない。
楽曲はHardfunkと呼ばれるタイプの楽曲の典型的なもの。
メロディアスさをそぎ落としてビートとグルーヴ感、そして「トバす系」のフレーズで持っていくタイプの楽曲だ。

5.Andy - Inina Tora
13:28から始まるトランス/プログレッシヴ系では有名なヒット曲のREMIXで
「イニナートラッイ トラトラトーラトーラ」という声ネタが印象的。
ボイスの定番でもある。日本のFunkot DJの間では通称「イナトラ」と呼ばれる。
イナトラフレーズをシンセで引きなおした後に出てくる15:00からのガムランのフレーズ。
これは「Tokyo」と呼ばれるフレーズの変形型。元ネタはハリウッド映画「ワイルドスピード」の主題歌であり、日本のHIP HOPグループ「TERIYAKI BOYS」の「Tokyo Drift」が元になっている。インドネシアの民族楽器のひとつであるガムランを使用している事から、現地のファンには親しみが湧いたのか、ちょくちょく使われる定番のフレーズである。
「Tokyo Drift」楽曲そのもののFunkot Remixもある。このフレーズは日本では「DJ JETBARON/ Cing Cang Keling 2011」のイントロでも使用されているので日本のリスナーにもおなじみだろう。

6.Gugun - Do U Want A Get Bass
一昔前バリ島でKencang(クンチョン)と呼ばれていたタイプの楽曲。
今ではその呼び方はほぼ聞かず、Hardfunkという呼称で呼ばれる事が多いようだ。
この楽曲は2種類の強烈なアシッドフレーズを使用した曲でそのどちらもがFunkot界の超定番「トバし」フレーズとなっている。
19:06から出てくるフレーズが先ほども出てきたトバし系フレーズの定番「Bailar」である。フロアでの爆音で空間を切り裂くような強烈なこの音色は文句なく飛ばされる。
そして矢継ぎ早に19:26からのバースで繰り出されるのがトバし系最高峰「Phat Bass」である。このフレーズは数多くのHardfunkで使われいる。元ネタは映画BLADEのサントラの「Blood Rave」、またはWarp Brothersの「Phat Bass」。
このフレーズが使われる前には「Listen to the Phat Bass...」というボイスとセットで使われることが多いことも補足しておく。
またこれ系の音ではBlood Is Pumpingというのもある。

7.JET BARON - Chinese Ghost Story
楽曲自体は80年代末期の香港映画チャイニーズ・ゴースト・ストーリーのFunkot Remixであり、いわゆるジャンル的に言うと「Mandarin」と呼ばれる中国語楽曲に分類される。
この楽曲のブレイク。イントロのフレーズはごくたまにDangdut系に引用される事もある。
24:26からのオリエンタルなフレーズが「Indian Power」と呼ばれる定番フレーズ。
このように全く関係な楽曲の中に王道フレーズが挿入され、予想外のアゲを生むこともある。また「Indian Power」が出てくる楽曲はあるボイスで予想が付くのだが、それは現場で知ってほしい。
またその直後に出てくるラップのボイスは通称「Bad Boy」と呼ばれる王道中の王道ボイスである。このボイスでアガれるのもまたFunkoter初級者への第一歩であろう。

8.Edwin - Poem Without Words
さて、ここまで聞いた諸君は定番フレーズのなんたるかが少しずつ分かってきていると思う。イントロに先ほど登場した「Lethal」が使われていることでまず「ひとアガリ」できる。
その後に出てくるメランコリックなフレーズが「Poem Without Words(通称:PoemまたはWords)」である。美しく悲哀のあるメロディはFunkotの中のある一つの側面を象徴する。
もちろんイントロの「Lethal」との関係性は無い。いちいち関連性などを気にしていたらFunkoterはつとまらない。その場その場で出てきた展開、フレーズに素直にアガることが大事である。ダウンビートした後に出てくるのは31:28から出てくるのはこれも王道の「Yo DJ」と呼ばれるフレーズだが次の楽曲へMixされる途中なのでこれは是非現場で聞いて欲しい。

9.Shisotex - Dolls vs Lembang
日本が誇るAAA級トラックメーカーShisotexの楽曲で使われているのはタイトルに入る「Lembang」というメロディ。「ファンキーコタ」と日本で呼ばれていた頃に有名な楽曲「Cyber Groove1」のメロディといえば分かり易いだろうか?オリエンタルかつアッパーなこのメロディはFunkoterが最も好むメロディの一つだ。
「Lembang」とはインドネシアのBandungにある地名のようだが、詳細は不明。
また「Lembang」のタイトルがついていてもメロディには数種類あり、SUNDA POPのEs Lilinという楽曲のメロディが使われていたりと幅を持っている。
おそらくインドネシア歌謡系のメロ使いの楽曲を「Lembang」と呼ぶのではないだろうか?

10.Richiter - Tian Di
京都の実力派トラックメーカー/DJのRichiterによるマンダリン「感動天感動地」という名曲のFunkot Remixである。イントロに使われているのが、これもFunkot的定番「Cape Deh(チャペ・デー)」というフレーズ。これも2006-2008ぐらいまでは頻繁に使われいた大人気フレーズの一つだ。少し物悲しい感じの美しいメロディはウェスタンポイズンに毒された我々の心を東洋の医術のように優しく解毒していく。
元曲となっているのは2005年頃に流行したMelindaによるDangdut House楽曲「Cape Deh」のである。
ここで注意して欲しいのはあくまでも感動天感動地というマンダリンの歌のリミックスであり、「Cape Deh」が使われているのはイントロのフレーズだけである。
複雑な話ではない。良いイントロだから取り入れたのだ。


11.Andy - Cinta Satu Malam 
一夜の愛を意味する Cinta Satu Malam は2009-10年にDangdut界最大のヒットとなった楽曲で、街の中でもマッサージのお姉ちゃんにもこの楽曲の名前を言うだけで歌ってくれるという超が50000個付くぐらいの名曲。
さきほど出てきたCapae Dehと同じ歌手Melindaが歌っている。
元曲はCascadaの「Every Time We Touch」で、NAGASWARAレコーズによる正式なカバーバージョンとしてリリースされている、がインドネシア国民の中でCascadaの元曲を知っている人は少ないだろう。
と、ここまではあくまでも原曲の話。
このCyber DJ TEAM/DJ Andyのリミックスの場合少々複雑な構造になっている。
このCinta Satu Malam自体がCascadaの「Everytime We Touch」のカバーであるが、38:20ころから出てくるフレーズはCascadaの別の楽曲「Miracle」のシンセフレーズを使っている。
Remixにあたって、Cascadaのほかの有名楽曲のフレーズを入れるという工夫を見せている。
また、歌手のMelidaは現在は Aw-Awという楽曲がFunkot界でもヒット中。

12.Ronny - Grab That Things
さて、この楽曲もダウンビート系の定番といえるだろう。
ダウンビートに入ってから「Grab That Thing...」という女性のラップが入り、その後「Bad Boy」のボイス。これだけでガンあがりなのだが、前述の「Grab That Thing」のボイスが問題だ。これが登場する場合、呼応するフレーズとしては44:30頃からのフレーズである。
元楽曲はウィルソン、ケッペルとベティの20世紀中期頃のエジプト風ミュージカルの楽曲
Streets of Cairoからの引用。だがFunkot的な引用は2 Live Crewの楽曲からの可能性が大。

13.Shisotex - Kucing Garong Simple
2曲目のANDY - Titleで使われていた「Kucing Garong」のShisotexによる最新版のリミックス。
Funkotの基本は名曲を錆びさせない事であり、それらはいつまでも更新され続け若い世代にも伝わっていく。楽曲を使い捨てにするのではなく(リミックスは使い捨て感はかなりある)、未来永劫伝えていくという思想は消費しつくすポップスの概念とはまた違うものなのではないか。

14.Roy B - Its The Power Of Magic
これもFunkot定番フレーズ界の帝王の名を「I Like It Loud」と二分すると言っていいほどの名フレーズ。51:26から始まるこのフレーズは数えられないほどのRemixの中で聞く事ができる。元曲はヨーロッパのトランス/テクノの「Imperio - Cyberdream」である。
タイトルはCyber Dreamではあるが、歌詞中のフレーズから「Power Of Magic」と呼ばれる事が多いようである。Dangdut Huseの「Teman Makan Teman」はモロにこのフレーズにインドネシア語の歌を乗せていたりして、インドネシア大衆音楽のそこの知れなさをあらわしている。

15.BAYU & DOD - I Like Millenium Party
55:00から始まるのはおなじみ「I Like It Loud」のフレーズである。まずはここで1アゲをカマしてからの、有名メロディーが続く。
こちらも大人気フレーズの「Millenium Dream」。こと映画エクソシストのフレーズをバッキングに奏でられるメロディは「Poem Without Words」とも通ずるメランコリックで美しい響きを持っている。

16.Dealy - Mega Party
名フレーズメガミックス型の恐ろしい楽曲というものがある。この曲はその手の楽曲の代表曲の一つで、アガるメロディを一曲に詰め込んだというインドネシア人ならではのenak思想の賜物だ。もはや今までのおさらいのようなフレーズの見本市で。
「Kucing Garong」から「Lembang」、「I Like It Loud」に繋がり、最後は「Power Of Magic」に行き、また「I Like It Loud」→「Kucing Garong」に帰って来るというFunkoterなら発狂寸前の詰め込みよう。このDEALYのMega Partyのほかにも恐ろしいメドレー系の楽曲が複数存在するので、それは現場で体験して欲しい。

17.Ronny - Bersama Bintang
インドネシア人の好きな洋楽のメロディで代表的なものが「Hymn」だ。イントロで流れるこのメロディは誰でも聞き覚えがあり、思わず口ずさんでしまう。
が、この後に出てくるのは皆が知っている歌ではなく、全く関係ないインドネシア歌謡である。このような事はFunkotの中ではごく当たり前の事であり、イントロで予想できない面白さがある。

18.NizziE - Rain & Tears
最後を飾るのは大団円に相応しいこのトラック。イントロはクラシックで有名な「パッヘルベルのCanon」である。世界中で知らない人はほとんどいない偉大なメロディだ。
そして、途中から入るのは2005年頃のDangdut最大のヒット曲「SMS」のイントロとなる。
この曲は「SMS」のメロディとしても有名だが、もともと「SMS」がRain & Tearsという楽曲のイントロを利用したものであった(複雑だな・・)ため、一応この楽曲はRain & TearsのRemixとして成立している。また、この曲で特徴的なのは通称「オリエンタル・ブレイク」と呼ばれる東洋的な琴の音色などを使った壮大なブレイクの存在だ。
マンダリン楽曲によく使われるこの手法は極限までHardfunkで痛めつけられた心を癒す一服の清涼剤として抜群の効果を発揮する。

またさりげなくLMFAOのParty Rock Anthem(誰でも知ってる大ヒット曲!)が単なる声ネタとして使われているところなども油断ができないと同時にFunkotの面白さが伝わる所である。


以上、解説 DJ JET BARON/高野政所 DUGEM RISING DEEJAY TEAM

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